日常生活で使う機会は少ないと思われますが、「 悪魔の証明 」という言葉があります。
元々は所有権帰属の証明の困難性を表す言葉だったようです。今日では、「存在しないことを証明する」といったことや「疑惑が事実でないことを証明する」といった意味で使用されます。また、「無いことを証明するのは困難である」という意味で使われることが一般的です。
そこから派生して、「「ある」と主張した側が、それを先に証明しなければならない」という、議論の一般的ルールを指すことが多いようです。また、「無いことを証明せよ、それを証明できぬならば有るのだ」と主張する詭弁のことを指すこともあるようです。
分かりやすい例をあげます。「宇宙人がいること」を証明することは可能です。1体でも宇宙人を捕まえれば良いのですから。でも、逆に「宇宙人がいないこと」を証明するためには、宇宙全体を隅々まで調べて、どこにも存在しないことを証明しなくてはなりません。つまり、実質不可能であるといえます。「宇宙人がいないことを証明せよ。できないのなら宇宙人はいるのだ」。この詭弁がまさしく「悪魔の証明」なのです。
当社のお客さまが、ガラスコーティング施工業者とトラブルになったことがあったそうです。施工業者から、「5年間持続する」と説明されたコーティングの効果が、たった数ヶ月で無くなってしまったことがトラブルの原因です。施工業者の担当者とお客さまの間で、このようなやり取りがあったそうです。
お客さまは「コーティングの効果は、既に無くなっているのでは?」と伝えたそうです。すると、施工業者の担当者から「そんなはずがありません。効果が無いと主張されるのであれば、それを証明してください」と反論されたそうです。
このやり取りをどう思いますか?
議論の一般的なルールとしては、「ある」と主張する業者がすべきなのです。ただ、透明で目視できないコーティング皮膜を、「ある」と証明するのは相当困難であると思われますが・・・。
ちなみに、コーティング皮膜の有無は、水弾きの状態で判断できると考える方もいるでしょう。でも、コーティング皮膜が無かったとしても、表面に付着した汚れを除去した塗装面ではある程度撥水します。また、コーティング皮膜が残っていたとしても、施工してから数ヶ月経過していれば、水弾きだけで見分けるのは困難です。
このトラブルは、最終的には再施工ということで決着したそうです。ただ、再施工後は何ヶ月持続するのかということは、「悪魔ではなく神のみぞ知る」ということかもしれませんね。