洗車と研磨と コーティング 。それぞれが重要な意味を持ち、お互いに補完し合う関係です。ただ、いい加減な説明をする一部のカーケア業者のせいで、世間では「コーティング」が注目されがちです。愛車の輝きを維持するために、そんな言葉に惑わされることなく、カーケアの本質を見つめなおしていただきたいと考えています。
洗車と研磨と コーティング
これらはカーケアを語る際に頻出する3つのキーワードですが、おそらく、ほとんどの方が関心を示されるのは「コーティング」ではないかと思います。
カーケアの世界にかぎらずあらゆる分野で、「コーティング」という単語を使えば、消費者の財布の紐を緩めることができる風潮があるようです。商品やサービスを売りたい側からすれば、まさにマジックワード的な頼もしい存在の言葉のようです。
カーケアの世界における「コーティング」は、あくまでもお守りのような存在に過ぎません。
クルマの輝きを維持するという目標を、1年や3年といったショートスパンではなく、5年、10年、20年というロングスパンで考えた時に、先述の3つのキーワードの中で最も重要なのは洗車です。ただ、ここでいう洗車は、数ヶ月に1回程度の少ない頻度で行う洗車ではなく、最低でも月に1回以上の頻度で定期的に行う洗車です。
クルマの輝きを維持するには、念入りな洗車を定期的に続け、クルマの隅々に溜まった汚れを確実に除去し続ける以外の方法はありません。洗車とは、人間に例えれば、日々の洗顔等のスキンケアだとお考えください。
ただ、どんなに丁寧に作業を行ったとしても、洗車キズをゼロにすることはできません。また、洗車直後に鳥フン等の強力な汚れが付着してしまえば、定期的な洗車を行っていたとしても、次回の洗車時の時点で、塗装面にシミが発生している可能性もないとはいえません。
つまり、洗車をする度に少しずつ洗車キズがつくことは間違いなく、洗車の回数が増えれば増えるほど洗車キズが累積していくことは不可避です。また、どんなに頑張って洗車を続けたとしても、ボディのシミをゼロにすることも極めて困難であると考えます。
人間の皮膚であれば、小さなキズやシミは細胞の新陳代謝で回復する可能性がありますが、クルマの塗装面ついたキズは復元不可能であり、固着してしまったシミは自然には消えません。そこで、塗装面を研磨することで、洗車キズやシミの除去作業が必要となります。この研磨作業は人間に例えれば、美容整形手術のようなものでしょうか。
ただ、研磨という作業は、塗装面を削ることでシミを除去し、再度平滑な面に仕上げることで洗車キズを除去する荒療治です。要するに、大切な塗装面を削って犠牲にすることで、美観を取り戻しているということを忘れてはいけません。そして、削り取られた塗装面は再塗装以外の方法では復元不可能です。つまり、新車時の塗装を維持するためには、研磨できる回数には制限があるということがご理解いただけるかと。
ですから、愛車の輝きをロングスパンで維持したいのであれば、研磨作業は気軽に実施するものではなく、できるだけ実施時期を先伸ばしすることで、総実施回数を減らすことが必要です。
そのために、当社ではクルマに最も優しい方法で、時間効率よりも安全性を重視して、洗車キズを最大限減らすような作業に徹しています。また、クルマの隅々までシミの原因になる汚れを丁寧に除去するよう。日比努力を重ねています。その結果、次回の研磨の実施時期を少しでも遅らせることができれば、当社に課せられた使命を果たせたと考えています。
ちなみに、通常は研磨した後にガラスコーティングを施工し、コーティング皮膜で塗装面を保護するのが一般的です。コーティング皮膜自体はもって数ヶ月ですが、この数ヶ月はコーティング皮膜が犠牲皮膜として、塗装面に洗車キズがつくのを防いでくれます。それにより、次回の研磨実施時期を遅らせることが可能になるのですが、これこそがコーティングの役割であると考えています。
コーティングを施工すれば、洗車の回数を減らせますなんて、ピントのずれた謳い文句のコーティングもあるようですが、上記の役割が、コーティングの本当の効能だと考えています。
ところで、コーティング皮膜は目視できないので、いつ喪失してしまったか確認不可能です。別の言い方をすれば、そもそも皮膜の存在すら誰にも断言できません。ですから、当社は犠牲皮膜であるコーティングはないものとして作業をするようにしています。
これが、先述の「お守りに過ぎない」ということの真意です。
なお、世の中には2~3時間の短時間で仕上がるコーティングがあるようですが、そんな短時間では、コーティング皮膜を形成する前の下地ができるわけがありません。下地処理ができていない状態で、コーティング皮膜を形成しても意味が無いですよね。そんなコーティングは、洗車でもなければコーティングでもない。要するに、何物でもないということです。
貴方の愛車の輝きをいつまでも維持されたいのであれば、魅力的な言葉の響きだけに惑わされず、カーケアの本質に目を向けることが必要ではないでしょうか。
2022年12月19日 株式会社サザンクロスフェイスブックページの元投稿