クルマの キズ を簡単に消せるわけがない(その2)

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普段からよほど注意されていないかぎり、クルマのドアカップ周辺には爪による キズ がつきます。

研磨のプロ以外では、その キズ を消すことはできませんが、 キズ に詰まった汚れを除去することで、目立たなくすることは可能です。ただ、 キズ が消えたように見えても、実際に キズ が消えたのではありません。あくまでも、汚れが落ちただけであることを忘れてはいけません。

世の中には「誰でも簡単に キズ を消せます!」なんて謳い文句を、堂々と掲げた洗車用ケミカルを販売するカーケア用品メーカーもあります。

某大手カーケア用品メーカーが販売しているコンパウンド。その広告の中で、説明用動画の題材に使用されていたのがドアカップの キズ 消しでした。いかにも洗車に不慣れな女性が、作業していましたが、みるみるドアカップの キズ が消えていくように見える動画でした。でも、それは、爪でできた キズ に詰まった汚れが、ケミカルの効果で除去されただけのこと。実にいい加減な販売手法です。

クルマの キズ は、塗装面が物理的にえぐれたものです。それを消すには、 キズ の一番底の高さに合わせて、周囲一帯を研磨して完全な平面に復元する必要があります。ドアカップの形状は非常に複雑であり、かつドアノブに隠れているため、非常に高度な研磨技術が求められます。研磨の訓練を受けていない一般の方が、手作業で完全な平面に戻せると思いますか?

ちなみに、洗車用ワックスを販売する業者の多くが、ワックスを使って キズ を隠すという表現を好んで使用されています。ただ、当社では極力そのような表現は避けています。ワックスで仕上げることで、洗車 キズ 等の キズ が多少は目立たなくなることは事実です。ただ、それはあくまでも一時的な処置に過ぎません。

そういった表現をすることで、多くのユーザーに キズ を消せるという誤解を生む可能性があるからです。

ちなみに、「誰でも簡単に キズ が消せる」といったいい加減な謳い文句には、オーナーの愛車に対する気持ちにり添うスタンスは感じません。仮に、 キズ の箇所周辺については、それなりにキレイに研磨できたとします。でも、そこだけ集中的に研磨したクルマの塗装が、どのような状態になってしまうか想像されてみてください。そんな気持ちが少しでもあれば、「誰でも簡単に キズ が消せる」なんていい加減な台詞は、絶対に口にできないはずです。

クルマの キズ は、簡単に消せるわけがないのです。

ドアカップについた キズ