車体色別ケミカルの闇と恐怖

カー用品店の洗車用品コーナーには実にさまざまな洗車用ケミカルが並んでいます。そんな中で、当たり前かのように販売されているのが車体色別のワックスやカーシャンプー等の洗車用ケミカルです。その多くは黒用、濃色用、白用、シルバー用、パール用といったパターンで販売されています。そして、当然ながら、ほとんどの方が何の疑いもなく自分のクルマの車体色に適合する商品を手に取ります。

でも、その意味を考えてから手にした方はどれくらいいるのでしょうか?

当社がお客さまのクルマを仕上げる際に、車体色別に使用するケミカルを変えることは一切ありません。なぜならば、車体色が洗車の作業に影響を及ぼす合理的な理由がないからです。塗装面に触れながら冷静に考えてみてください。塗装の色が汚れの付着しやすさや、除去する上で何か影響すると本当に思いますか?

世の中に塗装色別ケミカルが多数出回っている理由が当社としては皆目検討がつかないのですが、無理やり考えてみました。思いついたのは以下の3つです。これは、実際に車体色別ケミカルを製造しているメーカーの開発部の方にお聞きしたわけではなく、あくまでも当社の推測です。でも、いくら考えてもこれ以外の論理的な理由が思いつきませんでした。理由その①を論理的と言うかどうかは不明ですが・・・。

<理由その ①>ただの雰囲気

物を売りたいと考えた時に「何にでも使える」というオールマイティさがメリットになることは多々ありますが、オールマイティさとは逆にスペシャル感を出した方が売りやすい場合があります。特に、クルマというモノの特性を考えた時に、このスペシャル感は極めて有効かもしれません。どんなクルマにでも使える物よりも、自分のクルマ専用といった方が良いような気がする。つまり、そのための雰囲気づくりです。まさかこんな冗談みたいな理由で車体色別ケミカルを製造している会社はあるはずありませんが、もし本当にあったとしても特に実害はないのでご愛嬌ということで笑って聞き流しましょう。

<理由その ②>研磨剤の有無やその含有量による区別

理由その①はご愛嬌レベルでしたが、理由その②以降はあまり笑えないかもしれません。 洗車用ケミカルに最も求められる性能は何かといえば、言うまでも無く「汚れ落とし能力」 です。できるだけ簡単に汚れを落とせるケミカルは非常に魅力的です。その際、威力を発揮するのがコンパウンド等の研磨剤です。 しかしながら、研磨剤は便利であると同時にリスクも抱えています。研磨剤は汚れだけを狙い撃ちすることはできないので塗装面もキズつけてしまう可能性があります。キズの付きやすさに車体色は一切影響しませんが、ついてしまったキズの目立ちやすさには大きな違いがあります。黒等の濃色は「目立ちやすい」のはご想像の通りです。白系やシルバー系も目立たないだけで同じようにキズはついていますが、それが黒に比べて目立たないだけの話です。 こんな理由で、塗装色別のケミカルを製造している会社があるとしたら相当ヤバイ話です。その会社は「キズは目立たなければ良い」と公言しているようなものですから。

<理由その ③>ケミカルの成分や濃度

理由その②は背筋が凍りつきそうな理由でしたね。ただ、理由その③もなかなかのものです。 洗車用品に求められるもうひとつの性能といえば洗車後の「スベスベ感」や「艶」だと思われますが、 これは保護膜の質や撥水性により左右されます。その質感を高めるためには、含有成分を変えたり濃度を高めることが容易に想定されますが、そのために濃度を高めたりするとムラになりやすくなる傾向があります。そして、このムラは洗車キズと同様に黒等の濃色の方が「目立ちやすく」なりますので、濃度を薄める方が扱い易いケミカルにすることが可能となります。

塗装色に関わらず、 できるだけ洗車キズをつけないように安全に作業し、 拭き残しやムラが出ないように完璧に仕上げようとするならば、 塗装色別にケミカルを使い分ける理由が一切ないのです。繰り返しになりますが、これはあくまでも当社の推測と勝手な見解に過ぎません。

ちなみに、あえて名前は出しませんが、誰でも聞いたことがある某大手カー用品メーカーの商品パッケージに記載されている注意事項の中にはこんなフレーズが書いてあります。

黒や濃色の車はブラシ傷が目立つので洗車機ではなく手洗い洗車をされることをオススメします。

このフレーズに何か違和感を感じなければ少し危険です。当社ならこう言います。

車体色に関わらずブラシ傷がつきやすいので、洗車機ではなく手洗い洗車をおススメします。