「いつまでもつの?」からの卒業

愛車のケアに関するオーナーの一番の関心事は「いつまでもつのか?」ということのようです。

コーティングの場合は「いつまで効果が持続するのか」ということは特に重要視されているようです。多くのコーティングが、「○年間ノーメンテナンスで○年耐久」とか「洗車だけで○年間耐久」という謳い文句を掲げています。保管状況や使用状況等を考慮せずに一括りに表現してしまうことには疑問を隠せませんが、それはまた別のコラムでお伝えします。

洗車についても、オーナーの関心事は常に「持続期間」にあるのも確固たる事実です。当社の洗車サービスに関する説明を終えた後にお客さまからいただく質問の大半は、「その効果はどれくらいもつの?」という質問です。高いお金を払ってご依頼いただくのですから、その効果がどれくらい持続するのかに関心があるのは至極当然のことなのかもしれません。

でも、カーケアに対する考え方を少し変えてみませんか?

多くの女性は毎日欠かさずスキンケアをされていると思います。最初の洗顔で毛穴に詰まった汚れをしっかり取り、その後に化粧水や美容液を使って仕上げるのだと思います。ただ、重要なのは、その効果がいつまで持続するかなんてことを考える方がいるでしょうか。ほとんどの方は、当たり前のように翌日以降も同じことを繰り返しているはずです。何故なら、どんなにキレイにしても、人間の皮膚はすぐに汚れるに決まっていると知っているからです。

クルマだってそうです。どんなにキレイにしてもクルマはすぐに汚れます。完璧にキレイなのは洗車直後だけで、走り出せばすぐに汚れ始めます。だから、洗車後にお客さまに「このキレイな状態はいつまでもつの?」と聞かれれば、「今だけです」とお答えするしかありません。 こんな答えをされてしまったら「それでは洗車する意味なんて無いじゃないか」と思いますか?

クルマに付着する汚れは相当ハードです。泥汚れやホコリなんて可愛いもので、樹液や虫の死骸、鳥の糞等に含まれる成分は、時間の経過とともに塗装面を確実に劣化させてしまいますが、人間の皮膚と違って、クルマの塗装は一度劣化してしまうと元に戻すことはできません。もし劣化した箇所をもとに戻したければ、劣化した塗装面を研磨して削り取ることで強制的に復元させるしかありません。ただし、クルマの塗装面は人間の皮膚のような再生能力はないので、研磨して削った塗装面は確実に薄くなってしまうことを忘れてはいけません。

だから、汚れが塗装面を劣化させてしまう前に全ての汚れを落とす必要があるのです。

当社では「ワックスの効果はいつまで続くの?」と聞かれたら「もって1~2週間です」とお答えしています。天候の状況や使用状況等も影響しますが、ボディの部位によっては数日でワックスの保護膜の効果がなくなってしまうこともあるかと思います。どんなに高価なケミカルでも、その効果は数週間程度だと思うのが賢明です。商品のパッケージに印刷されている「撥水効果〇ヶ月」なんて謳い文句は全力で無視してください。欄外に小さな字で「※当社実験による」なんて逃げ口上が書いているのが一般的ですが、クルマの置かれている過酷な環境は、実験室内では再現不可能かもしれません(笑)

でも、それでは意味が無いなんてことは絶対にありません。

洗車の最大の目的は、クルマの隅々に溜まった汚れを確実に落とすことです。洗車後に「隅々までキレイになった」という事実が大事だからです。その状態がいつまで続くかなんて不確かなことに拘る意味はありません。当社ではこのことをこんな言葉で表現しています。

洗車の意義は「未来への儚い期待」ではなく、「過去の確実な清算」であると。

だから、洗車直後に雨に降られてしまっても全く気にすることなんてありません。だって、クルマが汚れるのは当たり前なのですから。 ほんとうに気にするべきなのは、せっかく洗車できるチャンスがあったのにそれを逃してしまい汚れた状態を長期化させることです。こんな風に考えれば、梅雨や台風等の季節に「どうせすぐに雨が降るのだから洗車はしない」と誤った判断をして、後で後悔するなんてことはなくなるはずです。

機会の喪失はカーケアにおける最大の損失です

ちなみに「撥水効果〇ヶ月!」とか根拠のない謳い文句ばかり掲げる洗車サービスの多くは、1台のクルマを1時間程度の短時間で仕上げてしまう「手荒い」洗車であることが多いようです。そんな洗車では、洗車直後の段階でも全ての汚れを落とせているわけがありません。その状態で「効果持続期間」を謳う意味があるかは甚だ疑問ですが(笑)