クルマのキズ を簡単に消せるわけがない(その1)

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クルマのキズ を簡単に消せる・・・

わけがありません!!

カー用品店等の洗車用品コーナーには、このような謳い文句を掲げた洗車用ケミカルが並んでいます。でも、冷静に考えてみてください。

クルマのキズ は、汚れのような付着物ではなく、塗装面がえぐれてしまった凹みです。 クルマのキズ を分かり易く喩えるならば、グランドキャニオンのような谷です。もし、貴方が巨人だとして、グランドキャニオンを消し去るとしたら、どのような手段をとりますか?

考えられる方法は2つです。

1つ目の方法は、土砂で谷間を埋めてしまう方法です。大量の土砂があれば可能ですが、いずれ河川の水が土砂を流してしまうことは明白です。つまり、この処置は一時しのぎに過ぎません。

2つ目の方法は、川底の高さに合わせて周囲一帯の岩盤を掘削し、平坦な地形に直す方法です。土砂で埋める方法と違って、すぐに元に戻ることはありません。ただし、とてつもない労力と高度な技術が求められます。

カーケアに置き換えて考えてみます。1つ目の方法が、ワックス等のケミカル剤でキズを埋める方法。2つ目の方法が、研磨によるキズの除去作業に該当します。

ただし、ワックスでキズを埋めたところで、一雨降れば流れてしまいます。ですから、この方法で クルマのキズ が消えたと表現するのはナンセンスです。「 クルマのキズ が消えます!」なんて謳い文句を掲げて、ワックスを宣伝している業者等には、当社としては不信感しかありません。

また、研磨によるキズ消しは、ポリッシャー等の機器を完璧に使いこなす技術が必要です。「誰でも簡単に クルマのキズ を消せます!」なんて謳い文句を掲げて、コンパウンド等の研磨剤を宣伝するカーケア用品メーカーは、誇大広告の極みであると考えています。 クルマのキズ の研磨作業は、素人が手作業で行えるほど簡単な作業ではありません。そして、一度研磨して削った塗膜は、二度と復元しないという事実から目を逸らしてはいけません。

巨人の話に戻ります。

仮に、グランドキャニオンをキレイに消滅させたとしても、そこだけ平地にしても、上空から見れば不自然に見えるはずです。要するに、研磨の方法の場合は、局所的な処置ではなく、クルマ全体を研磨する必要があるということです。

いい加減な説明をするカーケア用品販売業者に騙されないために、物事の本質を見極めることが必要です。

クルマのキズ は、オーナーにとっての悩みの種です。その悩みに乗じて、いい加減な謳い文句を掲げて商品を売りつける商法は、同じカーケア業界に身を置く者として残念です。甘い謳い文句を信じて、愛車の大切な塗装面をゴシゴシ擦ってしまうと、間違いなく後悔するはずです。愛車のために、どうか冷静に。

クルマのキズ  のイメージ