〇年保証のコーティングが保証しているモノ

新車購入時にコーティングを施工される方は多いと思います。追加料金を払う場合もあれば、「値引き」の代わりで提供される場合もありますが、見積書上の料金は5万~15万程度です。そして、引き渡し時に渡される施工証明書は「保証書」も兼ねているのが一般的です。ただ、残念なことに、高いお金を払っている(値引きもある意味出費です)にもかかわらず、この保証書が「何を保証している」のかご存知ない方がとても多いのです。

保証書の内容を良く読めば分かるのですが、人間はパッと頭に入ってくるキーワードに弱いです。「5年保証」と聞いた瞬間に、「自分に都合よく」コーティング皮膜の持続が5年間保証されると理解するはずです。でも、保証書に実際に記載されている「保証内容」は要約するとこんな内容です。

保証期間中に塗装面に著しい劣化がみられた場合はコーティングを再施工する。
ただし、樹脂部分等の劣化しやすい箇所は除く。

え????、と思いませんか?

そうなんです。高いお金を払って施工してもらったコーティング皮膜そのものを保証しているわけではなく、あくまでもクルマの塗装面の輝きを保証しているだけなのです。写真のシルビアは筆者が新車から20年以上乗り続けており、今まで1度もコーティングを施工していませんが、今でもかなりの艶を維持しています。クルマの塗装面はそんなにやわではありません。

保証書には更に重要なことが記載されています。
保証対象外になる場合です。いったいどんなことが書いてあると思いますか?

保証対象外になる場合

(1)年1回の点検を受けなかった場合
点検内容に興味津々ですが、保証する以上は敵的な点検は普通なのでこれは軽く流します(笑)
(2)タオルや雑巾などの硬い布地を使って洗車した場合
それっぽいですが非常に曖昧な表現です。保証条項に入れるくらいなら指定のタオルだけにすべきかと。ちなみに、柔らかいマイクロファイバーを使っても、力の入れ方を間違えば、簡単にキズはついてしまいます。一方、タオルを使っても正しく使えばほとんどキズはつきません。カーケアのプロなら、「布地の硬さ」が問題ではないことを知っているはずなので、この保証書の条項を起案した方は、カーケアのプロではないと推察されます(笑)
(3)メンテナンスキット以外のケミカルを使用した場合
この保証書を作成した方ではなく、メンテナンスキットを実際にお客さまにお渡しするスタッフの方にお聞きしたいです。本当にこのキットだけでクルマの美観を維持できるかどうかと。少なくとも、当社はこのキットで5年間クルマの美観を維持することはできません。何もしなくても光沢は5年くらいでは「著しく」失われないとは思いますが(笑)
(4)コンパウンド入りのワックスを使った場合
これには異論はありません♪
(5)煤煙、降灰、樹液、花粉、酸性雨、薬品、鳥糞、塩害、鉄粉、飛石、虫の死骸、ペットの糞尿等の外的要因
こ、こ、これは驚きです。正直、ここに記載されている「外的要因」以外の理由で塗装面の光沢が失われるとしたら、それは塗装自体の欠しかありえません。


なかなか刺激的な内容だと思いませんか?

最後の(5)の条項の存在により、この保証書が実際に保証しているものの存在はゼロになるともいえます。だって、そこに記載されている「外的要因」以外の要因でクルマの塗装面の光沢が著しく失われるとすれば、それは塗装自体の瑕疵くらいしか思いつかないからです(笑)

ただ、元損保社員の筆者が、この保証書の本当の意味を推察してみます。

この保証書が本当の意味をもつのは「事故」の際です。板金塗装等を行った際に、この保証書があることによって、修理箇所にコーティングを再施工してもらえることです。正直、損保会社の査定はかなり厳しいです。仮に、事故発生時点で既にコーティング皮膜が残っていなければ、損保会社の査定のロジックでは再施工は認められないはずです。なぜなら、損保の基本は「原状復帰」だからです。

も、コーティング膜なんてそもそも見えません(笑)

しかも、筆者の感覚(見えないのであくまでも感覚)では、施工後数か月もすれば、おそらく皮膜は残っていないクルマがほとんどです。そうなると、損保会社は再施工費用を保険金として払わないはずですが、そこはパワーゲームです。自動車ディーラーというのは、損保会社にとって自動車保険販売の生命線です。そのディーラーがメーカーとタッグを組んで販売しているコーティングをバックアップしないわけがないのです。

あまり書くと問題がありそうなのでこの程度にとどめておきます(笑)

なかなか上手くできた「仕組み」です♪